不動産税の現実

 固定資産税のお話

 税金が軽いか重いかを論ずるのが目的ではありませんが、家つくりを考えるとき興味が湧くのが不動産税です。
 その一つ固定資産税がどうなっているのかを観ると公平に課税されているとはいえないようです。それは建物の価値は全国一律に評価されるらしくこれだけでも平等でないことがわかります。
 大阪駅前の一等地のビルと片田舎のビルは同じ年に建てられればほぼ同じ評価額になるのですからこの事実だけで意味がお分かりだと思います。
 大都市と地方都市のあらゆるコストは一律であるわけが無く、人件費はもちろん、資材費などあらゆる価格差が生じます。交通の至便性からも工期さえ差が生じます。

 税制に詳しくはありませんが、一戸建ちからマンション住まいになったときに固定資産税が割高だと思い不動産屋さんに聞いたことがあります。
 その人はマンション住まいの人たちが文句を言わないからだ!と確かそう言いましたが、税金は取りやすいところから取るものだから言わなきゃだめだ!!でした。私も例外なく言いに行くところもわからずそのままにしていました。
 建物の原価償却期間は一戸建の場合22年ほどなのに対して、マンションの場合には47年ほどあり、建物の固定資産税は長く重くのしかかるのがマンションのようです。これも金生活者には厳しい数字となります。
 
 年金額が確定し、いったい我が家のランニングコストは幾らなのか・・・、恥ずかしながら初めて考える機会が与えられました。我が家のマンションは9階建てですが戸数はわずか42戸で、管理費などを観ると周辺よりかなり高額になります。
 私が輪番制の理事長になった年に外壁や全フロア、排水管の取替えなど大きな修理をしました。5000万円近い出費に加え昨年はエレベーターの入れ替えなどがありこの2.、3年で、6千万円もの積立金が消えました。管理組合の財布は空になり今後も際限ない積み立てから逃れることはできません。

 高齢化が進み年金生活者も多くなった共同住宅ですから、もっと管理費を下げてほしいという要望が毎年決まってでます。しかしマンションの場合は、最初の管理費が安く設定されていても後から徐々に高くなるのが一般的です。
 つまり当初の販売計画段階では、管理費の積み立て費は低めに抑えられているのですが5年目、10年目あたりから高くなるように設定されているケースが多く見受けられます。
 当然ながら将来管理費が下がる保証はなく、私のところでもこの先のメンテナンスを考えると免除どころか安くできない宿命にあります。
 
 そんな訳で間違いなくマンションの固定資産税は高すぎるといえます。だからといって権力と戦おうとは思いませんが、自己防衛は考えねばなりません。
 そこでこれらのコストが幾らくらいかかるのかということを調べてみました。実に大雑把な計算ですが租税に管理費や駐車場代を加算すると、何と一ヶ月に数万円を遥かに越えることに遅まきながら気がつきました。
 これは年金生活者には決定的なダメージとなります。私が死んでも家内が先に逝っても、このランニングコストは下がることがありません・・・配偶者を亡くし片肺の年金生活者になると老後はさらに悲惨であり鞭打たれる現実を迎えます。

 いろいろと勉強すると老いを迎えるということは、今の日本では夢をしぼませるような世界に突入することではないかとガッカリします。
 私などはやがて地球上からスクロールされますが、この不況の中若い世代はどう感じているのでしょうか。
 ローンの設定や現実の生活との兼ね合いで家を持つということは、厳しい現実に勇敢に立ち向かうチャレンジャーだと感じます。他人事ながら応援したい気持ちと大丈夫かな?などの余計な心配に心が及びます。

 そんなこんなで、色々考えた結果昨年の夏この際地上に戻ったほうが良いのではないかと思いました。
 幸い現在事務所として使っている狭い土地があるので、この地に息吹を与え、私自身の生涯最後となる小さなプロジェクトをスタートさせようと思いたちました。
 もし同じ思いの人が一人でもいらっしゃれば、一献酌み交わしながら語り合いたいという気持です。独りよがりの情報発信になりますが、気長にお付き合いいただければ嬉しく思っています。