大真面目に  狭小住宅
 狭小住宅とは
 狭小住宅(きょうしょうじゅうたく) というのは、非常に狭い土地に建てられたとても小さな住宅のことをいいます。
 明確な定義はないようですが、一般に約15坪(50m2)以下の土地に建てられる住宅を狭小住宅と呼んでいるようです。
 簡単に言えば狭い土地の小さな家ですが、こんな物件でも売れるの?と小さな建売住宅を馬鹿にした思いが始まりだったかも知れません。
 
 確かに大都会を歩くと、よくぞこんな狭い場所に・・・と見入るようなところに芸術品のような独創的なミニ戸建てを見ることができます。
 狭いから土地を有効に使いたい・・・だから最大の知恵を出したい!そんな思いが家の完成度を高めるのは確かで、大きな家からは想像できない工夫が込められているようです。
 
 壊す前の建物は外観を見る限りさほど小さく感じません。これは角地でもあり対角線からみれば大きく見えます。ただ更地にすれば驚くらい狭く感じます。21坪ほどなのですが、私道部分があるので実質使えるのはわずか17坪少しです。
 正にお手本のような狭小住宅への挑戦がここからスタートすることになりました。

 建築にあたって理想はそれなりに設け、書籍などを参考にして構想を練りました。それは、年金で暮らせる家を作ろう!ですから、頑丈ながら安く、安定感があり出費を抑制することが可能な住まいです。
 こんな条件を設定するとたちまち矛盾が生じます。毎月の駐車場料金を抑えるには自前のガレージがどうしても必要です。いつまでも車に乗れるわけではないのでそんな無駄なことは止めて借りれば良い!!という人もいましたが、私の車はサブバッテリーを搭載した8ナンバーの車でAC電源が不可欠です。月ぎめ駐車場で電源を自由に使えるところは周辺にありません。
 
 木造3階建てがベースですから基礎部分や強度に特に関心がありました。これにガレージを作るということは1階の開口部が大きく構造計算上特に注意が必要です。同時にたちまち費用に反映されるので正に口を開けばコストアップという現実でした。

 以前住んでいた一戸建ての敷地は80坪足らずの二世代住宅でした。玄関は一つでしたが、1階と2階が独立しています。大手住宅会社とやり取りをして完成させたのですが、やり手のセールスマンのひとり舞台で、任せていたらいつの間にか出来上がっていたというのが本当のところです。
 出来栄えは問題なかったのですが、ほとんど言いなりのような感じで、住宅会社からみればこんな素直でやり易い客はなかったのではないかと思います。
 要壁工事や階下のガレージを兼用した基礎部分の鉄筋の多さに驚きましたが、まさに地下の要塞を作るようなイメージを抱いたものです。これならどんなことがあっても倒れることなどないと安心できるものでした。もちろんこれだけでも小さな家が一軒建つくらいの費用がかかりました。

堅牢な建物を求めて
 これが立証されたのはあの阪神淡路大震災です。震源地に近い住まいでしたが早朝の激しい揺れでも倒壊などとは無縁で、1階のピアノが数十センチ移動し食器棚からこぼれた皿が数枚割れただけでした。
 これが私の初期の判断を狂わせた原因となったのは震源地に近い我が家がこれ位の被害なら大したことはないだろう・・の勝手な思い込みでした。
 実際は近くにある同じ時期に立てた日本建築の建物は内部の家具などが倒れ悲惨な状況でした。
 我が家の工業規格住宅よりかなり建築費の高い従来工法の家がこんなに酷いことになるとは思いもよらないことでした。これが地盤であったのか構造上の問題であったかはわかりませんが多くの教訓を残しました。
 神戸に住む人が地震から学んだ教訓は脳裏に刻みこまれています。あれだけの被害を被ったのですから当然ですが、その後立て替えられた建築物と補修で済ませた建物では外見からはわかりにくいのですがその差は今も歴然としています。

今回の候補地
 駅に近い建築場所は元は建て売りの物件でした。お世辞にも丁寧な建て方ではありません。屋根裏を見ればすぐにわかります。前の持ち主がそこを喫茶店に改築したものをその後買い取り全体を防音構造に作り変えました。
 防音といっても所詮建て売りの木造建築がベースですから限界のある工事でした。鉄筋のような防音効果は得られず、逆に相当な改修費用が発生しました。これをすべて壊すのですから少し未練があるのも事実でした。

業者の選択
 周囲の親しい人から色んなアドバイスが得られましたが、私の信念は家作りは縁談だということです。良縁に恵まれれば良い家が建つというのが信じるところです。
 もらったアドバイスはその都度確かめてみました。住宅展示場にも出向き今話題の格安住宅を売りものにしている成長会社の門も叩きました。
 広告を出さない口コミで評判の百年住宅!というふれ込みの会社ともコンタクトを取りました。材木をふんだんに使い強度を売り物にする地元の会社も訪ねました。
 
 定期的に送られてくる情報の中味は好感度抜群で、看板にある社長の思いに思わず共鳴しましたが、出てくる担当者のかゆいところに手が届かない姿勢に失望しました。
 社長の理念は素晴しいのに何故従業員にその思いが正確に伝わっていないのだろう・・・売り上げを延ばし社員が増えると、その会社の理念が対応する社員のレベルに歪められる現実もみました。これは食店でも同じで、店舗を増やして客を減少させるという共通の悩みではないかと感じます。親は素晴しいのに・・・そんな思いでもありました。

 特に展示場の大手の会社はもっと悲惨でした。こちらの言うことをたたみかけるように実に一方的な説明に終始します。安くできる理由を切々と説いてくれるのですが、私の場合は事前にある程度調べたことを確認したかったのですが、そこに至りません。
 無知な客を指導してやるという姿勢が不快でその場を去りました。会社が大いということは必ずしも安心感があるとはいえないことを実感したものです。
 
 私の課題は年金で暮らすことができる住宅です。も一度繰り返すと安くて堅牢であり、3階建てであることが条件です。
 ガレージがありさらに屋上にルーフテラスを作ることです。土地が狭いのですから屋上に使えるスペースがあるということは新たに土地を買うのと同じ理屈です。
 さてこんな矛盾した注文を快く聞いてくれる建築屋さんが果たしているのでしょうか・・・

そのヒントは意外に住宅展示場ではなくインターネット上にありました。