ゆらりゆらりスリランカ
「四度目の正直、本当のスリランカを見つけた!」
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トパーズホテルを目指す | |
徒歩でホテルに向かう | ||
顔を見て通り過ぎる夏に出会ったFマネージャー | ||
上司のマネージャー現る | ||
故意のダブルブッキング | ||
決断のとき | ||
悪夢ならよかったけど! |
トパーズホテルを目指す 目指す場所はキャンディの町を見下ろす山の頂上にあるトパーズと言うホテル ![]() バス内の眠りから覚めると見慣れた景色があった。キャンディの町に入ったことがわかった。メンバーも目を覚まし市内一等地にある刑務所の塀沿いに山道に入った。 ホテルへの道はすこぶる狭く大型バスがやっと上れるくらいだ。日本で例えればアルプス駒ヶ岳千畳敷きカールに向かうバス道ほどもない。ここで車同士がすれ違うには近年日本では経験しないようなスリリングな光景が繰り広げられる。 余りの狭い道にメンバーから驚愕の声が聞こえるが突然バスが止まった。前から大型バスが下りて来た。すれ違いなど物理的に無理である。このときばかりはメンバーの多くがドライバーの心情が乗り移ったのか一斉にそわそわし始める。心配はわかるが乗客のヤジだけでうまくバスが動けば運転手など不要である。未舗装の谷川の路肩は谷底に直通である。 スリランカは日本と同じ左側通行であるが我々のバスは山側に張り付いている。何度も切り返してようやく谷川になんとか車一台通れるスペースを確保した。相手のバスは空車であるがミラーをこすりながら恐る恐る我々の視界から消えた。 さあこれで行ける・・とほっとしたがその後も一向にバスは動かない。10分経っても・・聞いてみるとこの先に故障車 ![]() しかしいくら待っても動く気配がないので数人がバスを降りて現地を見に行った。明るいうちにホテルについてアンテナを・・との思いがあり日没の貴重な時間だけに焦りを感じる。せっかく観光地をキャンセルしてまでここまで来たのに・・・。 私もバスの中で待っていたが一向に進展しない状況にたまりかねて様子を見に行った。故障車の所まで行って驚いたのは10数人が車のまわりにたむろしている。小型乗用車の前輪の車軸を木製の大ハンマーでたたいて修理している。周りは楽しんでいるようなギャラリーばかりだ。これは故障車を何とか排除しようとしているのではなくて公道で悠長に楽しみながら修理しているだけではないか。 これだけの人数がいれば小型車なのだから簡単に移動できるはずだ。ホテルへの道はここしかないのだから・・・。 あと20p車を山側に寄せると何とかバスは通れる。しかも坂道だから数メートル下まで移動すれば問題なく大型バスも通過できる。その証拠にさっき上から大型バスが下りてきて苦労しながらも交わせたではないか。しかし我々のバスの運転手も降りてきて一緒にこの光景を眺め始めた。 これではまったく待ちくたびれている旅行者を何とかホテルまで届けたいという気づかいが感じられない。ホテル側だって判っているのにいったい何をしているのだろう。 徒歩でホテルに向かう ガイドのARIさんにホテルまで歩いて行ってもらうことにした。つまり伝令である。その間ずっと車の修理状況を観ていたのでその間色々な思いがした。 スリランカ人は知恵を働かせないのだろうか。シーギリアのヘルパーが池田さんをサポートした話をしたが、中国なら同じ人海戦術でも実に頭の良さを発揮する。腹の立つのを通り超えて不思議さが先に立つ。 ここで再びNさんを引き合いに出すがNさんから相談を受け最良と思えるアドバイスをしたことが何度もあるが結果は自分の思ったことしかしない。最初は強情な人だと感じたが半年も毎日接すると強情ではなくて本当はできないのだと思うようになった。だから最後はこちらから無理強いをすることをやめて向こうから言い出すことだけを約束の中心に置いたが結果は前述のように何もできなかった。 頭が悪いなどといってしまうとそれこそスリランカ人を侮辱することになるので適当な表現ではないが、工夫や知恵をださない国民性であることはほぼ間違いない。 これが民族性に起因するのか列強の支配に苦しんだ14世紀からポルトガル、オランダ、イギリスに支配された歴史から学んだことか判らないが勤勉さにかけては我々の方がはるかに勝っていると思う。 なぜ私が観光客の処遇についてこだわるかと言えば、最初の年コロンボで観光局チェアマンの晩餐会にメンバーとともに参加した。このときチェアマンからスリランカの印象を聞かれた。もちろん社交辞令的な挨拶の後は初めてのスリランカを熱く語ったことを思い出す。 それは感動を受けたシーギリアをもっと安全な観光地にしてほしい。あの岩に打ち込んだ鉄棒で支えられただけの階段に人が群がっているのは大変危険な印象を受ける。 毎日そこに居る人は感じなくなるだろうが初めて行った私が感じた不安感と同じ思いを抱く外国人がたくさんいるはずだ。 目から入る悪い印象を観光地から排除していくことが一番大事で日本ではその為の努力を工夫しながらやっている・・・そんな話をしたからだ。 もうすでに3回目となったスリランカ旅行は我々でさえあの鉄はしごにあれだけの人間が張りついていても恐怖感を抱かなくなってきているはずだ。 こういう初めての旅人の考えと現地の感覚の違いがふとしたことで摩擦にまで発展するわけだからサービス業を自認する観光業者は素直に耳を傾けるべきだろう。 何よりも腹立たしいのはこのトパーズホテルは客が着く時間が判っているのにたった一台の故障車に対し何も対応していないということだ。待つこと1時間あたりは真っ暗になってしまった。小型車の排除くらいならその気があれば何としてでもできるはずだ。 あまりに待たされストレスの限界が近づいてきたころ、ガイドの要請でやっとワンボックスのワゴンがバスまできた。まず年配者からホテルまでピストン輸送が始まった。トイレなど急ぐメンバーは自力で山道を登ってホテルに向かったが私はメンバーの一人の体調が悪いので安孫子さんたちとバスに残った。 そのころ故障車にタイヤがつけられた。エンジンがかかって動き出すのかなと思ったらステアリングが効かないらしい。先ほどよりずっと少なくなった人たちがその車を押し始めた。 ギョッとしたのはたった数人であの坂道を押し上げ始めたのだ。そりゃ何でも無理だ。坂道をわずか10メートル下がればバスは通れるのに、聞いてみると上の広場に持って行ってゆっくり修理するというのだと言う。スリランカ人は・・いやいやここにいた人達は本当に馬鹿だと思った。 バンのピストン輸送が続いた。しかしこのバスが登って行かない限りスーツケースや荷物が届かないからホテルとしての機能をはたさない。 無線班はできる限り機材を便乗させ運んだようだが全部の運搬は無理である。 バスがゆっくりと山道を登りだした。一部始終を見ていた私としてはあまりに理解できない状況とホテル側の対応の悪さにすこぶる不機嫌だった。 バスには体調を崩した白原さんが奥さんと残っているので駐車場に着くとすぐにロビーまで走って迎えの車を頼んだ。 ホテル側は、今は車がないのでしばらく待ってくれという。そのうち運転手が戻るからそれまで待てというのだ。さっきの運転手はと聞くとあれはこのホテルのマネージャーで用が済んだから帰ったという。 喧嘩は後にするとしてとにかくガイドのARIさんとホテルの駐車場に車を探しに行った。そのとき1台の車が帰ってきたので直接話をして白原さんを迎えに行くように頼んだ。 顔を見て通り過ぎる夏に出会ったフロアマネージャー 次の仕事はバスから45個の荷物を下ろす作業だがホテルのボーイは二人。バスの助手と私、そして安孫子さんとで荷物の積み換えを始めた。別に私がしなければならないわけではないがこれが届かないとメンバーは部屋でくつろげない。 バスの非常扉から降ろすスーツケースは結構重い。その時暗がりで見覚えのある人が私の側を通ったので目をこらすと7月に無線室や部屋の確保で打ち合わせをしたこの ![]() なんだこいつは客がこんなに重い荷物を運んでいるのに知らぬ顔で通り過ぎるのか、と思ったがとにかく関わっている暇さえない。 汗を流していると再びこのマネージャーが私の側を通ったので声をかけた「おい、私を覚えているか?」近寄って私の顔を覗いて一言何かを言ったようだが聞き取れず、そのままどこかに行ってしまった。 客をロビーに待たせたまま何もせず、しかも荷物の積み卸しを客にさせても何も手伝わないホテルマンがいることに驚いたがこのこの後もっと驚くことが続くことになる。 荷物の積み替えを終えてホテルのロビーに着いた。メンバーは部屋で荷物を待っているとのこと、無線チームはアンテナ設営に必死だろう。 ARIさんにあのフロアマネージャーを呼ぶように頼んだ。渋々あらわれたFマネージャーに一体これは何だ?の抗議をしたが平然としている。 問題点を指摘するとそれは私では答えられないという。じゃあ誰なら答えられるのかと聞いたらマネージャーだという。それならマネージャーをすぐに呼んでくれというとマネージャーは仕事を終えたので帰ったと言う。 あのバンの運転手がマネージャーだったそうだが仕事はまだ終わっていないではないか・・と言う抗議には、きちんと皆さんを運んだ、だから帰った。 馬鹿を言え、仕事は完全には終わっていない・・・理由は私が納得していないからだ。あなたが返事をすることができないならマネージャーを呼び返すしかないだろう・・・。そんなやり取りが続き嫌がる上司のマネージャーが現れたのはその1時間後だった。 ロビーで私は相当険悪な表情で話していたのだろう。先に食事をしてもらうようにお願いしていたが秘書役の阪本さんからきょうの誕生祝いのケーキが届いたがいつ出していいか?と耳打ちされた。 そうだ今日は旅の途中記念すべきパーティーを開催するはずだったが誕生祝いどころかメンバー揃ってのキャンディの夜を祝う時間などとっくに過ぎてしまっている。みんなには申し訳ないが明日にしてもらうように伝えた。 上司のマネージャー現る 九時半頃になってマネージャーが現れた。顔を見てバンの運転をしていた人物だと判った。責任者が来たのだからこれでまともな話になると期待しながら同じ質問をしたが答えはフロアマネージャーと変わりがない。この二人の言い分を要約すれながらば思い出すのも嫌だがこう言う内容である。 故障車は朝からあの場所にあり、運転者は車の修理業者にキーを預けたままどこに行ったのか連絡がつかない。警察にも朝から通報しているがまったく来ない。だから悪いのはホテルではなく車の所有者であり、その処理をしない警察である。 ホテルは本来求められる以上のサービスとして皆さんを運んだではないか。迷惑しているのはホテル側でありその責任を問われてもどうしようもない。マネージャーが帰ったのは本来必要のないサービスを実行し皆さんを無事運び終わったからだ。 言いようもあるものだ。それなら私があの荷物をバスから降ろしているとき何故手伝わないのだ・・というと、ホテルはそのための従業員を雇い給料を払っている、その者の仕事だ。 客が好き勝手に手伝うことを止めることはホテルとして失礼である。おいおい、誰が好きでやってるか・・・! ガイドのARIさんがこれに加わりスリランカのホテルではネクタイをしている幹部は荷物など持たないのです、といいだす始末でこの連中と話しをしてもどうしようもないことに気がついた。 スリランカで自家用車を持つことはそれだけでも比較的豊かな部類に入る。いわば所有者はハイソサエティだからそれぞれ横のつながりを持っている。このコネクションを使えば警察だって車1台の事では動かないことがわかる。我々もそれなりにこの種の恩恵を受けているかも知れないが今回ばかりは強烈なとばっちりを受けたようだ。 インドを旅するとホテルの部屋でさえ、ものが無くなることがある。大抵は従業員の仕業だが盗った犯人が見つかっても謝罪はなく一生懸命力説する。 ここに財布があるのは神様が私に与えたので受け取っただけだ。もしそれを神が認めないなら財布がこの部屋にあるわけがない・・と言うのである。 怒り狂う日本人の客に平然と訴える姿は真剣で、これを平然と何度も繰り返すから盗られた方もやがてその気になる。ここはインドなのだ、そんなに怒ることもないか・・ひょっとしたらこの従業員は自分を神と信じているではないか、神がわずかの金で怒るはずはない・・と思うようになる。 スリランカ人は元々アーリア系のインド人だから同じDNAを持ち合わせているのでひょっとしたら根底は同じなのかも知れない。こんな事で怒るのは間違っているのかも知れない。この人達は正しいのだ・・ここはスリランカだ・・・・。 と、暗示にかかりそうになりながらいやいやそうは言っても病人がいると訴えても車がないと耳を貸さない。客がホテルの運転手を捜しに行くことは異常だ。 自分を取り戻すのに時間のかかる議論だが、すべて波長のずれた対応に同席した安孫子さんも田中さんも怒っていたのである。 しかし事後談になるが田中さんは私が怒り狂って無線ができなくなる方がもっと恐いと思っていたそうである。さすが無線チームリーダーは立派だ。 トパーズホテルの二人のマネージャーは暖簾に腕おし、馬耳東風、ぬかに釘・・あらゆる抗議は通じないようだ。スリランカ流の決して謝らない態度と言い訳や責任のなすりあいに終始して引き下がらないのがこの国の人たちの習性であることがそろそろ判ってきた。正にこの国の代表者みたいな連中である。 あきれたスリランカの流儀にため息をついていたころ時刻は10時をとっくに過ぎてしまった。マネージャーが食事をしないとレストランが閉まると言い出した。一緒に食事でもと誘ってきた。私が望んだわけでないが断るほどのこともない。 空腹感はあまりなかったが一緒に折衝にあたってきた田中さんや安孫子さんや、我々の成り行きを見守っていてくれているメンバー達も食事をしていないのでレストランに行った。こんな不愉快なホテルマンと食事をしても美味いはずがないのだが・・。 食事を始めたらマネージャーが何か飲み物でもと勧めてきた。ビール党の田中さんもいるので早速注文したが驚いたことにボーイが私にサインを求めてきた。隣のマネージャーは知らぬ顔である。正直なところ一番周りが驚いたのがこれだったと安孫子さんが語った。 自分が飲んだものは自分で払うのが当たり前だがこの場面でためらいなく請求書を出してくるのがスリランカ流である。日本人ならこう言った飲み物代など恥ずかしくて請求しないではないか。彼らが悪いとは思っていないことがこれで証明できる。 日本人なら私が誘ったからきょうは支払うと!いうことが多いようだが、私も日本に帰ったらみんなを誘って支払いはしないというスリランカ流で行こう・・・。 腹の立つ逃げの一手のフロアマネージャーは、上司が現れた途端何も言わずに私とテーブル越しに対面している。マネージャーも肝心なことになるとそれ以上はジェネラルマネージャーに聞かないと分からないと言う徹底した縦割り構造のホテルである。まるで軍隊と同じでありそしてこの国の形と相似形を成している。 インドほど明確ではないがスリランカにはカーストがある。ただ面白いのは最上級のカーストが占める割合が断然多いことだ。 歴史的に観て支配階級が奴隷階級より多い帝国など長続きしたことことがない。少数の支配者が多くの民を支配した国々が近代になって苦悩を続けたことを観ても、スリランカはこれとは異なる。日本と同じように島特有の異質の文化を持っているのかも知れない。 スリランカは英文表記で分かるとおり社会主義国である。町を歩くとそうは感じないが政府職員と接するとその意識を強く感じる。 たとえば昼前に無線免許申請に行き次の役所に行く場合でも、運転手が3時にならないと帰らないから待てという。いや車はこちらで手配するからその心配はないと伝えるとそんなことをされたら困る。運転手はそのために居るので待ってもらわないと困る、となる。 誰が困る?と聞くとそんなに急ぐと相手の役所が困る。またこの逆をされると今度はこちらが困る・・そんな図式だ。そんなアホなと感じても事実なのだからやっかいである。 日本人旅行者があまり行かなかった頃の中国を思い出す。スリランカの今と潜在的に背景を共有している部分がある。 ホテルもレストランもデパートもすべて国営だった時代、レストランに行って注文のために従業員を呼んでも知らぬ顔をされる、日本人の多くが何故といぶかしがるが中国人ガイドの説明によればあの子はこのテーブルの担当ではないから来ないのだと返事が返ってくる。 暇そうにしているじゃないかと言えば、もしあの子がこのテーブルの注文を聞くとここの担当の子に迷惑がかかる。 どんな迷惑がかかるの?日本人の質問は段々エキサイトしてくるが平然と誰かがルールを破ると働いているみんなが困るのというのである。つまり働いている従業員が困ることを働かずに遊びに来ている我々が文句を言う筋合いはないと言う理屈だ。 それは違うだろう・・誰のお陰で食っているのだ!そんなことだから中国が発展しないのだ・・などと怒るのは筋違いで、お前達が来ない方が迷惑を被らずに楽しく働けるではないか、というのが従業員の考えだったようだ。 外国人に永遠に発展しないと悪口を言われても、人より多く働いても給料は変わらないのに余計なことをしてコミュニケーションを乱す方がもっと恐ろしいことなのである。日本でもこれに似たような光景は今でも随所に残っている。 ところがこの中国が今は金の亡者を作り出している。何が代わったかを実際に行ってみて感じて頂きたい。上海の古い友人が言うには最近みんなが金を追いかけて大切な心が無くなってしまった・・と嘆くのを聞いた。どちらが正しい答えなのだろうか・・・ ホテルのサービスの善し悪しは従業員の数に依る部分が多い。このトパーズホテルは人が少ない。もちろん客商売など意識にないのだから人を増やす必要がない。 面白かったのは我々との話し合いの途中にフロアマネージャーが大事な客があるので席を外したいと言ってそわそわし始めた。 私たちは大事な客ではないのか?と聞いてもとにかく席を離れようとする。この姿勢にあきれてしまったが後で判ったのだが大事な客とはドイツから来た団体客であった。 我々も随分なめられたものだが、7月に出会って今回の計画を快く承諾した人物なので余計にこの厚顔な二重人格には参ってしまった。 大事件が起こったのは夜の11時のことであった。マネージャー達と話し合ってもこれ以上進展はないと判断しこの問題もそろそろ終息させようとしたころガイドのARIさんがそわそわして席を離れ電話を始めた。 何があるの?と聞くと、これどころでないもっと大きな問題が発生しましたとのこと。いったいこの反省のないホテルで大きな問題とは何なのだ? 故意のダブルブッキング 7月に私と田中さんがこのホテルを訪ね無線運用に一番適した場所を選び日本の方角を確認し4階のレストランとテラス ![]() この場所で短い時間であったが日本と無線交信をした結果最良の場所であることを確かめたのだ。そしてこのホールを自由に使って良い。飲み物も運ぶしメンバー全員のサロンとして使って良いとのことで合意したものだ。 大事件というのはこのホールで翌日結婚式があるのでこのホールとテラスは使えない。すぐにアンテナを撤去して欲しいということを突然言い出した。時刻は夜の11時でありマネージャー達と食事も終わりかけて心穏やかになりかけたときだった。今まで彼らは何故話をしなかったのだろう・・・ まさかと思っていたがバスの通行止め、どころの話ではない。こんな大事な話を深夜になって言い出したのはフロアマネネージャーが上司に言わせるためにこの時間にしたのだろうか。 尋常でない神経としたたかなホテルの思惑に失望してしまった。正直スリランカ人に対するいままでの敬意が吹き飛んでしまった。 フロアマネージャーに7月にあなたと話し合ってこの予約をしたではないか!覚えていないのかと問いつめたが、確かに聞いた。しかしアンドリュース旅行社の申し込みにはその記述が無かったのでドイツの団体と契約したと平然と言いだした。またかこれか・・・・ バスの遅れをものともせずアンテナを設営しようやく運用を開始した途端、突然告げられた悲惨な内容だった。 余りの無礼に私と安孫子、田中両名はその場で席を立った。すぐに4階に向かったがみんなにどう告げようか・・通行止めに端を発したこのホテルとの付き合いがこんな形に歪められるとは夢にも思っていなかった。 アンドリュース旅行社の申込書にテラスを使うことの記載がなかったからそうなったのでホテル側には落ち度がないの一点張りである。契約社会がこれを保証するなら明らかに契約の隙間を利用した卑怯なビジネスで実に虚しいことではないか。 ひょっとしたらスリランカの内戦など謝ることを知らない、言ったことを守らず自己主張と言い訳ばかりを繰り返す民族性から起こった問題ではないか。この意地の張り合いが繰り返され気の短い方が爆弾を仕掛けるようになった。きっとそうに違いない・・と妙に納得した。 マネージャーも我々の怒りに焦りを覚えたのか4階のテラスまで追いかけてきたが、すでに彼らにはこれ以上は自分たちには決裁権がないと臆面もなく言っている。そんな人物と語る気もしない。上司に聞かないと判らないとしか言わないのだから。 マネージャーは私には穏やかに話したが無線運用をしているメンバーには今すぐアンテナをたたんで出て行け「GETOUT!」と怒鳴ったのだそうだ。メンバーが面食らったのは当然だが私の撤去指示がでるまでは運用を続けようということでメンバーはもちろんこれには従わなかった。 余りの理不尽な仕打ちに私はこの裏切りマネージャーに「明日ここで結婚式を実行するなら我々もこの場に居続ける。トパーズホテルの常識がこの程度なら我々も常識を貫いてみなさんと一緒に祝福の無線運用をする!」と申し入れた。 その時点でマネージャーは困惑したのかこれらを放置してそのまま家に戻り、また権限のないフロアマネージャーが残った。 夜中にこの話を無線チームのみんなに告げることになった。メンバーは意気消沈してしまった。 今まで明るく振る舞っていたメンバーに沈黙が訪れた。本当に申し訳ない・・・ 決断のとき ここまで来るといかに腹が立つ相手でも意地をはるだけでは解決しない。爆弾の持参も無い。速やかに代替案を実行しなければならない。ホテルの意図的なダブルブッキングは明らかだがこの相手とは争っている時間はない。 ホテル側もここまで私が怒るとは予想していなかったのか夜中になってホテル本館の一段低い所にゲストハウス ![]() 警備員は夜中に我々がFマネージャーを伴って走り回っていることに驚いているようだ。ゲストハウスの管理人をたたき起こし無線に適した部屋を見た。 フロアマネージャーに全部詰まっているわけはないだろうとのことでやっと一つの部屋を見ることができた。このせまい部屋だけでは電波の相互干渉問題がでるので食堂となっている棟続きの大きな部屋の使用を申し入れた。しかし明日の8時にならないとどの部屋が開くか分からないとしか言わない。 ホテルだろう・・そんないい加減な管理をしているのかと理解できなかったがこのトパーズホテルならそうかも知れない。 百歩譲歩してアンテナを撤去する約束をしても良い・・しかし朝になってここが使えないと言われると我々の行き場が完全に無くなる。 泊まる部屋が無くなるのではないが無線の運用をする場所が無くなることはこの旅の目的を達成することができなくなることだ。 この点を確認してもマネージャーが帰ったから明日出勤するまでわからないと答えた。また怒りがこみ上げてくる。なぜマネージャーはこれらを解決しないので帰るのか?すぐに電話で確認しろと言ったところ、まだ帰っていないということだった。時間は丑三つ時になっていた。これでは妖怪の館だ! スリランカ人のすべてを敵に回すような論法は避けなければならないが、このホテルの人間に限って言えば彼らは嘘つきだ。明らかにウソだと分かることを平然と言う。社会主義という国がこういったビジネスをまかり通せるなら私は日本に生まれたことを誇りに思う。この夜でスリランカが大嫌いになった。 さらに話が続いた。朝5時にテラスのアンテナを撤去してゲストハウスに移設したとする。結婚式が終われば元のテラスに戻すがそれで良いか?と確認したところ結婚式が終わったらドイツ人のセミナーを開くので戻ることができないと言う。一番大切なお客様が優先だということをはっきり認める強心臓だ。 7月に直接会って話をした張本人が旅行社の申し込みに記載がないという理由で重複予約を意図的にとる。これがすべてである。 後で聞くところによるとスリランカでは日常的な出来事だそうだ。だからコネが契約書に優先してしまう・・・ 無線チームはそのまま徹夜し5時までにアンテナと無線機を運び出して約束通りゲストハウスに移動させた。私のカメラには14日の夕刻から翌朝までの記録がない。写真を撮る余裕もなかったわけだ。だからこのページには残念ながら写真がない。寂しいページになってしまった。 今後2度と利用することのない史上劣悪なトパーズホテルは忘れることはない。 この時、私の決断は翌日からの宿泊を別のホテルに移すかの判断にかかってくる。これは一夜あけたホテルの回答と無線チームの意向に従おうと思い眠りについたのは明け方であった。 悪夢ならよかったけど! 気がついたら薄あかりがさしていた。すでにアンテナと無線機はゲスト ![]() チームリーダーの田中さんに出会った。部屋はそのまま使えるの?大きな部屋はどうなるの?と聞いたら「朝フロアマネージャーに聞いたらあっさりとOKになった!」とのこと。何があったのか知らないが急転直下問題は解決したが、これは我々の譲歩によるものであり当初の契約事項が守られたわけではない。ゲストハウスが無線チームに意外と好評であるのでトパーズホテルの連泊を決めた。 さて、この件はホテルが言うように旅行会社の責任としてどの程度の抗議が妥当なのか問題が残る。 行列のできる法律相談所にでも聞いて見るか! |