地獄の引っ越し作業

引っ越し準備


竣工引渡しが6月13日と決まったもののやり残した工事箇所は結構多いもので現場は人の出入りがまだまだあります。
外構工事の仕上げや植樹は引渡し日の午前・・、こういうのを突貫工事というのでしょうか!
とにかく建築工事というのは、あれこれ問題も発生します。最終工事は引渡し日から逆算して工程を組むこともあるので現実はそんなものかもしれません。
夏休みの宿題の駆け込みと同じといえば失礼でしょうが、そこには業者さんの緻密な計算があるようです。
実のところそんな心配をするより今の住まいの片付け・・・つまり引っ越し作業が一番気がかりです。
これこそ突貫工事そのものの待ったなしの状態に突入しました。

時間的にまだ十分に余裕のある頃、引っ越し屋さんが置いていったダンボール箱は100個、「余ったら返すね!」と軽く受けとったのですが、実際は返すね・・どころかこれでは足りないもう少し欲しい!と予想を上回る事態になりました。
100を越えるダンボール紙は、たたんだ状態でもただでさえ狭い共同住宅の部屋には大きな負荷となります。

この一枚づつが今度は立方体になるのですから、ゴム風船を部屋中で一度に膨らませるようなものです。
これにせっせとモノを詰め込んで、部屋の片隅に積むと最初はいいのですがやがて部屋全部を占拠し人間の居場所がなくなるという現実です。
元はといえばウサギ小屋にモノを溜め込んだ悲劇の結末ですが、そもそも最初が間違っていたのです。

見あげるようなダンボール箱の山に、いま地震が起こればこの箱の下敷きになることは間違いないと思えるほど危機感を抱きます。
もともと片付け上手ではない私が最も苦手とする分野への挑戦ですが、ただあまりの荷物の多さに、何とかしないと解決しないと覚悟を決めました。
とにかく居場所を確保する意味もあり、引き渡しから引っ越しまでの一週間は少しでもマンションの空間を作ろうと必死でした。
この為に借りたランクルームと、引渡しを受けたばかりの新居へ毎日のように通いました。
この作業が結構大変なのは、マンションの構造上階段が多く、エレベーターから車まで相当距離があり、しかも段差の連続です。

いずれは捨てるしかないものが多いのですが、引っ越してから整理し見極めて捨てればいいと思っていましたが、これが間違いであったことが今頃わかりました。
収納庫を多めに取る設計にしましたが、今後いっさい使うことが無い恐れのものを、またしまい込んで保管するという無駄なことをまたしでかしたかもしれません。


ネットでの一括見積もりの悲劇

引っ越し業者の選択は重要な課題です。
今回もかの有名な「サカイ引越センター」を選んだのはいつも使う業者であるからと、少しばかりご縁があるからです。

そのまま素直に連絡をすればよかったのですが、インターネットに引っ越しの一括見積もりというサイトがあり、10社くらいから概算の見積もりが得られるという触れ込みです。
面白そうなので入っていくと概算という割には個人情報や、家具や建物の構造などかなり詳しい設問がありました。
なるほどこれならかなり正確な見積もりができると思わせるもので一応の書き込みを終えました。

出かけるので帰ればどんな概算が届いているのかと支度を始めると、その5分後から電話が鳴り出しました。
これは一体何だ!!と電話に出るとネットでの見積もり依頼をしたからだということがわかりました。
これではネットの見積もりの意味など無いとばかりに聞いてみると、どんな家かも分からない・・正確な金額は見ないと分からない・・という。
それならなぜ間取りや部屋数など詳細にわたり情報を聞き出し、その後は電話応対になるのか、いきなり見ないとないと分からないという説明は変だろう!

この瞬間にすこぶるご機嫌斜めになりました。こんな業者など御免だ、と出かけようとすると2番目に電話が来たのがサカイ引越センターでした・・・

サカイよお前もか・・・!!思わず言ったのはこれは反則だ!!ネットで依頼したものはネットで終結するべきで、こんなやり方は失礼だ!でした。
心を落ち着けてこんな苦情は無いの?と聞くと「良くあります」の気持ちよい返事。よくあるならなぜやるの?答えは競争が激しいからです!!

応対は丁寧なもののどうもインターネットの一括見積もりに騙されたようで結構不愉快でした。
出かける前に家内に、きょう一日引っ越し業者からの電話がくるが、メールで返事を返せ!と伝えるよう命じ仕事に出かけました。
帰宅すると案の定、電話がどっさりあったようで指示通りの対応をしたとのことでした。

だまし討ちのような一括見積もりは、引っ越し業者の過当競争の弱みに付け込んだネット業者の勝利のようですが、やがて引っ越し業者がこの付けを払うことになりそうです。
こんなものを利用することの間違いをいやというほど痛感しました。

最初から決めていたサカイ引越センターでしたが、しばらくコンタクトをする気にもならず放置していました。
ストーカーのような引っ越し業者のサバイバル合戦で今後迷惑をする人も多いでしょう・・
機嫌を直しサカイさんとコンタクトをとったのは随分あとのことです・・


記念すべき6月20日月曜日(引っ越しの日)

この日の天気予報は雨・・梅雨の時期ですから仕方がありません。
作業開始は8時半!外を見るとがっかり確かに雨が降っています。

さて当日は、たくましい・・そうでもない人もいましたが若者たちが終結しました。といっても3人です・・・
エレベーターの養生など事前の準備に余念がありません。
マンションロビーは積み込み前の家具などが並び搬入に備えています。午前中の大半はこの作業に費やしました。

その間に車を出すからトラックを移動してくれ!などの申し出があり、その都度大きなトラックが出入りするので実に効率の悪い作業です。
管理人さんにも随分前からお願いし、エレベーター内や掲示板に案内を掲げていたのですが、なかなか協力が得られないのものですね!

本格的な積み込み時間になった昼前幸運なことに雨が止みました・・・
これで作業効率が格段とあがります。なにより荷物にためにも大歓迎です。

作業のお兄さんたちは実にてきぱきと仕事をこなしてくれました。信頼度は高いです・・
悲惨な150個の段ボール箱には、運び込む各部屋の番号を書いていますが、分かりにくいものはその都度指示しなくてはなりません。
この正確さがあとの作業を軽減させるのですが、とにかく早く作業を終えて欲しいということもあり、ガレージに積み上げたのが間違いでその後これらを定位置に搬入するのに疲れ果ててしまいました。

サイドボードが入らない

2往復・・いや3往復になった2台のトラックが最後の搬入に手間取ったのがサイドボードでした。
私の書斎の机も大きくて入らなかったのですがこれは分解して納めることができました。
しかし3階に納める和風のサイドボードは母が買ったかなりしっかりしたものです。
計算では何とかなると思ったのですが、階段はもちろん通らない・・そこで3階の窓から室内に入れたのは良かったのですが、隣の部屋へ運ぶ廊下でわずか2センチでどちらに向けても回らない分かりました。

対処方法はもう一度下に下ろして廃棄するか、どこかに保管するかの選択しかありません。預けても使えないのですから廃棄しかないのですが、そうなれば収納の段取りが狂ってしまいます。
かなり頑丈で、そう安い買い物でもなかっただけでなく、思い出の家具ですから何とか2センチをクリアする方法を考えました。

最近の家具はこのような状況を計算してどこかが取り外せたり、セパレートになる構造が多くなっています。
ところがこのサイドボードは全部一体化されており、もし取り外すなら架台部の袴部分しかありませんでした。
そこで私の出番です。業者さんはこれには手を下しません・・・
工具や大工道具はかなり揃えている私の担当になりましたが、荷物が産卵した狭い場所でかなりの時間をかけてなんとか作業を終えました。
その後は引っ越し屋さんの仕事ですが、また隣の部屋で元に戻す大工仕事を完了し、廃棄処分という選択は消えました。
なんでや!階段や廊下が狭いのか・・真剣に悩みました。

事実冷蔵庫も階段を回らず窓から・・・手すりを外してもNO!でした。
建築士に言うとそんなはずは無い、とのこと。たしかに狭いと思っていたマンションの廊下のほうが広いことがわかりました。
問題は曲がりくねる階段の構造にあります。
狭い家は広めの階段でもコーナーが問題となります。馬も陸上競技やスケートもみんなコーナーで失敗するという共通点をみつけました。

夜も遅くなってきました・・いつの間にか作業のお兄さんたちが6人になっています・応援に駆けつけてくれたようです。
時刻は夜の10時半を回っていました。
もうこの辺にしたい・・業者さんも同じ思いだったと思います。
なんとか作業を終えてすべてが終わったのは夜の11時前になりました。
実に近所迷惑な長時間の引っ越し作業でした。
もう一度やるか?ときかれれば二度としないと即座に答える一日でした。

疲れた・・・!