モネはしっぽで、私は背中で勝負する。 1997(H9)/1/17  こりもせず、3月の京都障害者マラソン大会に出る決意です。ところが、子供たちも忙しく、どうしても練習ができません。考えあぐねて「これっきゃあない。」 横断歩道を横切って、マンションに続く急なあの坂道を駆け上がることです。決めたらすぐに実行。「モネ、よってよって、カーブ。」 モネが止まった。私は右足で、歩道の淵石をポンポン。「モネ、グッド、カーブ。信号は青だ。ストレート、ゴー。」喫茶店の角も曲がったぞ。よし、ここからです。「モネ、レッツランニング。」駆け足開始だけれども、文化会系のモネは、スピードが出ません。「モネ、ダッシュ! レッツゴー!」「お父さん、無駄な努力はやめとき。しっぽフリフリやけれど、モネ、歩いてるでぇ。」学校帰りの陽次郎です。「どうだ、このフォーム。男は背中で勝負するのだ。ダッシュ!ダーッシュ!」息子は、サッサと追い越して行きました。  急いで帰ってきたもうひとつの理由は、これから盲導犬のコマーシャルビデオを撮るのです。ライオンズクラブの岸本さんがバナーの御配慮です。私は、日頃お世話になっている、皆さんの品々を身につけて出演するつもりです。靴のアシックスに作っていただいたスタッフジャンパー、ゴルフ大好きのますみさんから盲導犬用にいただいたゴルフ手袋。そして、新神戸ライオネスクラブのバザーで買ったネクタイ。これで完璧です。  私は、もうウキウキ気分だったのですが、「島田さん、そのジャンパー少し派手ですねぇ。他の服に替えて下さい。」「放送予定はいつですか?」「サンテレビで4月からです。」「春の放映だから手袋は変だぞ。でも、ネクタイがあるから大丈夫です。カメラセット完了。モネと私もスタンバイOK。」「カメラが後ろから写しますから、真っすぐ歩いて下さい。どうぞ。」えぇ、後ろから? ネクタイはどうなるのだ。けど、モネはフリフリだから、男は背中で勝負するかあ。