盲導犬は、街頭募金に立ちません 盲導犬貸与の運動には、多額の費用が必要です。その資金は、多くの人々の維持会費や寄付金、そして街頭募金などで賄われています。盲導犬協会は、盲導犬を通じて、盲人福祉に奉仕する慈善団体ですから、盲導犬使用者に、寄付金や街頭募金に参加する事を求めることはありません。しかしながら、私自身は、兵庫県盲導犬協会の役員であり、盲導犬使用者でもありますので、私なりの街頭募金活動のあり方を考えてみました。 阪神電鉄三ノ宮駅で、盲導犬サポーターの松下正美さん親子と待ち合わせました。モネと私は、長女の篤子さんの手引きで、さんちかタウンから階段を上がって、三ノ宮センター街に出たとたん頭がクラクラします。阪神大震災で、あの巨大なアーケードがもろくも崩れ落ち、今は直射日光がまともです。暑さでボーッとしていると、「盲導犬にご協力下さーい」。神戸シニアライオンズクラブの皆さんです。その中に大きなゴールデンがいました。アトムです。震災で、飼い主を失ったアトムを、桝野事務局長が引き取ったのです。一方、センター街なかほどにある文具店の前では、女性だけで組織された、神戸のじきくライオンズクラブの皆さんも、街頭募金に参加されていました。 「こんにちは、クロちゃんでしたっけ--」。「クロちゃんは私の犬です。私はヒロちゃんです」。犬は覚えられるのにボランティアさんの名前を 忘れてしまう私は、こまったものです。 ああ、思い出しました。今から私は、募金箱設置店の挨拶回りをするのでした。松下さんが次々と案内してくれます。どのお店の方も、「犬が大好きで、盲導犬のお役に立てれば」とおっしゃいます。モネのしっぽの振りが、いっそう大きくなります。震災で募金箱を紛失されたお店には、新しい箱を届けるお約束をしました。ゴールデンレトリーバーの置物の前に、デンと募金箱を置いて下さってるインテリアの内田さん。いつまでも、モネを見送って下さった呉服の大西さん。熱っぽくお声をかけていただいた、住装スリッパ店の御主人。時おり利用させていただく喫茶のベルさん。後から追いかけてくれたそうだけど、お会いできなかった傘屋の奥さん。そして本屋さん・日本料理屋さん・時計屋さん・真珠店さん・おもちゃ屋さん・バッグのお店・皆さん、ありがとうございました。これからもよろしくお願いします。それからモネ、御苦労さまでした。