マラソン大会でモネは 応援です 京都で視覚障害者マラソンが開かれ、百二十七名のみなさんが一キロ、三キロ、五キロコースにわかれて参加しました。わが兵庫県盲導犬協会からは、ハノン、シルドラ、モネ、そして、盲導犬貸与申請中の二名が参加しました。 走るのが大好きなハノンは、使用者の玲子さんと一緒に、一キロコースに挑戦し無事完走です。貸与されてまだ三ヶ月あまりのシルドラは、走らず見学しましたが、使用者の中田さんは、七十才ながら一キロを力走しました。盲導犬を申請中の神戸の森さんは、歩行訓練士の貴久美さんと、週二回の特訓の効あって楽々です。同じ申請中の三田の斎藤さんは、初出場でいきなり二位と大奮闘です。来年は一キロコースで優勝をめざすそうです。さて、問題はモネと私です。モネを走らそうとすると、イヤイヤをして動こうとしません。どうやらモネは文化会系のようです。それで、モネは応援と決定しました。 残るのは私です。モネのパピーウォーカーで、今はボランティアをされている、増田智子さんのご主人に伴走をお願いしました。二年ぶりに、増田さんに会えたモネは、「ウォー フッフッ」と鼻をならして大喜び。盲導犬は、成長ざかりに出会ったパピーウォーカーを、一番よく覚えていると言います。「ラッキーだね、グッドだね、モネ」。毎度おなじみの、少林寺拳法の作務衣にゼッケンをつけてもらい、元気がわいてきた私です。 「バーン」三キロコースのピストルです。選手と伴走者は、五十センチほどの紐で結びあい、ひしめきあってスタートです。増田さんは、マラソンが趣味で、呼吸法のアドバイスを受けながら走ります。大きく道は左へ曲がります。風が冷たく胸が痛みます。 おや変です。拍手が等間隔に聞こえます。暗闇にともる、ともし火のようです。小さいともし火は、ボーイスカウトのみなさんです。多くの人々に包まれて走る京都の街々は、とてもすがすがしく、病み付きになりそうです。