緊急 盲導犬に優しい震災の街 少林寺拳法兵庫県連対策本部では、西は西宮市、東は神戸市長田区間の五か所の避難場所で、物資輸送とたきだしを続けています。本部は、兵庫駅近くの中野導院、導院長の中野先生には、何かにつけお声をかけていただいていますから、一度ご挨拶したいものです。そこでバスに乗ることにしました。鈴蘭台のバス停は始発駅なので座って行けます。 モネと私は、列の先頭に近いのでなんとかなりそうです。リードだけを握ってハーネスのハンドルを落とします。私が車中に入ってからモネを呼びます。「モネ ハウスグッド」。目標は二人がけの座席です。あった二人がけ、やばい駄目だ。前後の間隔が狭いです。一人がけ座席にアタック、身代わりの速さは少林寺仕込み、ただちにモネの頭を前方に向け座席と平行に床へ、「モネ ダウンステイ」。あれれモネ、かなり長いぞしっぽフリフリ、モネはうれしそう。そんな最中にも、ドカドカと乗客のみなさんが次から次へと、バスはギューギュー、私はモネの顎の下に足をさし入れ首のあたりを杖の先でトントン。「グッド グッド」の連発です。ちょっと後悔、でもバスは発車オーライ。 次の停留所でもまたその次の停留所でも、乗客は増える一方です。もう限界です。いつでも膝の上にモネを、かかえる決意です。有馬街道を下り始め、バスが大きく揺れるたびにモネはズッズッと滑る。それを足でくい止める。ダダダダダー。あの震災の縦揺れだガタガタ道だ。小さい声で「あはは、モネ グッド」。どうかモネが動きませんように、吠えませんようにと念じながらバスはやっと終着駅神戸。一番最後に降りるぞと決めた私は脱力感ぎみで座っています。下車していく乗客のみなさんが「かしこいね」、「カワイー」、「頑張れよ」、などとモネに声をかけてくれました。ありがたいことです。さてモネは、どうしているかと足元をさぐって見ると大混雑のなか、私の足に顎を乗せ鼻をカサカサに乾かして熟睡中です。「あんたはえらい、あんたは太っ腹モネ、グード」。 震災の街の人々は、盲導犬にとても優しく接してくれます。とても嬉しいことです。ともあれしばらくバスはパスです。