ご挨拶 神戸垂水ロータリークラブではいろいろな奉仕活動を行っておりますが、その一端として1993年に県下の視覚障害者の方々に十頭の盲導犬を貸与するという事業を発足させまし た。 その間、阪神淡路大震災などもありましたが、この度念願の十頭貸与を完了することが出来ました。これはひとえに兵庫県盲導犬協会様、(財)関西盲導犬協会様はじめ関係者各位の絶大なご協力の賜物と深く感謝申し上げる次第です。 その十頭の内、第五号犬(モネ号)受領者の島田剛さんの手記がここに刊行されることになりお祝いを申し上げます。内容をご覧頂きますと犬の活躍振りがお分かり頂けることと存じます。 視覚障害者にとって犬を持つということは「街を歩ける自由」と「生き甲斐」を与え、ひいてはその方の人生に幸福をもたらすことに繋がるのではないでしょうか。 この事業が視覚障害者の方々にとって何らかのお役に立っている事を信じ、発刊のお祝いの言葉に代えさせて頂きます。 1997年4月吉日 神戸垂水ロータリークラブ 記念事業実行委員会 まえがき 神戸垂水ロータリークラブ様が「十頭の盲導犬を育成し、視覚障害者に社会参加の機会を促進する。兵庫県下に二十人あまりしかいない盲導犬使用者を一挙に三十数名に増 加させる 等々」世界ではじめての試みで展開された事業に金字塔を打ち立てられらことを記念し、島田 剛氏の<モネ グッド>の本が発刊される運びとなりました。 モネ島田(島田 剛氏とモネ号の通称で、その二つの生命の合体は、モネ島田と表現するしか方法がないと思われます)は十頭のなかの第五号犬で、あの悲惨な阪神大震災の直後に亀岡市の盲導犬訓練センターでの共同訓練を済ませ神戸市北区の自宅に帰還した ものです。 大震災を挟んでその前後の日常生活をユーモアとペーソスを織りまぜてエッセイ風に綴られた文章は、モネ島田がお互いに励まし合い、いたわり合いながら前に前に進んでいく姿が垣間見られます。 モネ島田の今の希望は不幸にして体育訓練で失った視覚を戻して欲しいといふものでもなく、ただ妻の恵子さん、そして二人の息子さんとモネを核にして楽しい家庭を築き、生きる事の素晴らしさを実感したい、そして一頭でも多くの盲導犬を育成し長い間待っておられる盲導犬使用希望者に分かち与えたい、といふものなのです。これらの想いから 兵庫県盲導犬協会の理事としてPR活動、盲導犬便利グッズの開発に日夜努力を重ねているモネ島田さんなのです。 最後に、この本の発刊にご尽力下さいました前述ロータリークラブ。表紙の可愛いデザインを受け持って下さった(株)ファミリアの方々。印刷にご協力下さった(株)シンリョー河野正道社長、その他心の温もりを援助の手にかえご協力下さいました皆様に厚く感謝を申し上げます。 兵庫県盲導犬協会 会長 田上 昭一