盲導犬貸与の動機は 散歩でもいいのですよ

久美さんの運転で、モネと私は国立神戸視力障害センターにやって来ました。本日は、盲導犬の話をするのです。

センターには、鍼・灸などを勉強されている視覚障害者のほかに、点字や白杖歩行などの日常生活訓練をされているみなさんも、いらっしゃいます。貴久美さんは、生活訓練のみなさんに盲導犬の説明を始めます。

現在盲導犬として普及している、ラブラドール・レトリーバーやゴールデン・レトリーバーは、元来カナダのラブラドール半島で、魚の運搬犬として使われていたため、ラブラドール・レトリーバーと呼ばれ、またゴールデン・レトリーバーは、イギリスで改良された犬です。

回の震災で、生徒のみなさんの御自宅も大きな被害を受けたため、質問は住宅問題に集中しました。公営住宅では、盲導犬と生活することが認められています。また民間住宅で盲導犬が理解されない時は、盲導犬協会が積極的に、働きかけることなどの話がありました。

最後に生徒のみなさんに、「あなたも盲導犬使用者になってみませんか」、と訪ねたところ、「盲導犬との生活は楽しそうだけど、自分は散歩ぐらいにしか盲導犬を使わないと思うから、他の人に貸与してあげてください」、とおっしゃる方がありましたが、私達は考えます。盲導犬貸与の理由は散歩でいいのです。かつて、社会的貢献度を求める時代もありましたが、私達は、視覚障害者のみなさんが、盲導犬とごく自然な生活を営まれることを願っているわけで、決して特別な事柄を求めているわけではありません。

六月十二日、兵庫県下唯一の、夫婦で一頭の盲導犬を使用するタンデム犬ポニーが、一枝さん御夫婦と、やっと一緒に暮らすことが出来ました。避難場所の中学校から仮設住宅への引っ越しに、桝野事務局長もお手伝いしたことは言うまでもありません。

しい住まいの周辺を、ポニーと一枝さんは、さっそく散歩したに違いありません。ポニーと歩く散歩道は、幸せあふれるものであったと確信します。

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