盲導犬は ハッピー犬です

林寺拳法神戸北導院は、四月から稽古を再開することが出来ました。全盲の私が少林寺拳法中挙士三段になれたのも、導院長をはじめとして、挙法を志すみなさんのおかげです。ありがたく感謝しています。

モネも導院になれたようです。稽古が終わると、私は「モネ」と声をかけます。モネは立ち上がって、タントンと床を踏んで居場所を教えます。

戸北導院の唯一の女性挙士である堂山さんは、兵庫県盲導犬協会副会長で、兵庫県獣医師会会長でもあり、震災直後、動物救援本部長をされていた鷲尾氏が、震災で飼い主を失った犬などの動物を引き受けてほしいとの呼び掛けを行い、それに応じてセンターに行かれたそうです。

ところが出て来た犬は何と6才のドーベルマン。名前はアシュラ。「こんな大きい犬、とてもお引き受けできませんわ」と、しりごみする彼女に「どうしても引き取り手がないのですよ」とのこと。仕方なく連れて帰ったアシュラでしたが、今ではよくなついてハッピーだそうです。

古から帰ってくると恵子さんが、「モネ、テレビで忠犬ハチ公やってるよ」。家族中でハチ公を見せようとしますが、モネはそっぽを向いています。

帰れなくなった主人を待ち続ける忠犬ハチ公の姿は、尊く感動的ですが、はたして、ハチ公自身はハッピーだったのでしょうか。レトリーバー犬種である盲導犬は、帰れなくなった使用者を、延々と待ち続けることはありません。レトリーバー犬は、現在自分をハッピーにしてくれる人を受け入れる特性があります。ですから盲導犬は、生まれた時にはブリーダーと、子供の時にはパピーウォーカーと、訓練所でも使用者とでも、そしてリタイヤ犬として老後を過ごす時も、ハッピーでいられるのです。

導犬は生まれてからその生涯を閉じるまでハッピーであり、そのハッピーさは、盲導犬と触れ合う人々をも包みこむほどのものなのです。

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