ラ・クーン「還紅」陸路3190kmの走行記録と出会ったキャンピングカー

 軽トラのエンジンとボディで、この車が実用車として十分機能するのか・・?ラ・クーン購入を検討している方からメールをいただくことが多くなりました。これはメーカーであるアズマさんの仕事かも知れませんが、売る側は不利なことは言わない・・そこで私の出番になるのかも知れません。もちろんそれなりに高価な買い物になるのですから皆さんの真剣さが伝わってきます。
 
 北海道のキャンプ場や道の駅はキャンピングカーの展示場のようです。そこは情報交換の場でもあり、色々の出会いがありました。
 真っ赤なラ・クーンを見て声をかけてくれるのは例外なく私と同世代の方で、手だけ振ってくれるのは女子中学生です。
 
 北海道では、経済振興策として行政機関が土地と住まいを提供し、半年間北海道で生活しながら農業に勤しむ人を募集しています。もちろん各町々でその費用は異なるようですが半年で25〜30万円の契約金で、住み込んで農業をすることが条件です。
 そんな優雅な人たちは決まって、北海道に魅せられたリタイア組で秋の訪れとともに古里に帰る人たちです。
 
 今回そんな方とお話しする機会がありました。一番多かった話題は、何といってもラ・クーンの大きさについて話題でした。走りについて聞いてきた人はキャンピングカーの経験者にはいませんでした。どれだけのスペースが取れるのか・・・が興味の対象のようでした。
 特にスペースに興味を抱くのは乗用車で寝泊まりする方で、決まって興味深く中までのぞき込んできます。
 長距離ドライブの疲れは、疲労が蓄積してくると仮眠という手段では解決しないものです。シートを倒して長時間眠っても、手足を伸ばして寝むるのとは根本的に疲労に対する効果が違うものです。
 ラ・クーン最大の利点はここにあります。手足を伸ばして眠ることが出来る・・この最高の特徴は車種に関わらず最重要課題です。
 乗用車で2ヶ月間、北海道の道の駅などで寝泊まりしているというご夫婦は、帰ったら買い換えを考えてみる・・と真剣でした。家内からラ・クーンのパンフレットを積んどけばよかったね!と言われるくらい北海道はセールスの機会です。これ・・アズマさんの仕事なんですが・・。
 このご夫婦に「悠々自適な毎日で、しかも2ヶ月も北海道を旅できるなんてうらやましい・・」と言ったところ「いや、実際は窮々自適の毎日で・・」と切り返されました。
 
 意外と多かったのが、でかいキャンカーの方からの声でした。九州ナンバーのアメリカ車のオーナーは、排気ガス規制などでとにかく次回の車検が受けられないので思い切って軽クラスにしようと思う・・北海道で半年農業をするのにこんなに大きなキャンカーは要らない、とのことでした。
 これと同じ話をしてこられた方が他にもいて驚きましたが、みなさん結構大きいモノにあこがれながらそれなりに苦労があるのだと感じました。
 これらの方に言ったことは、あの車に積載している荷物をラ・クーンに積み替えれば運転席も無くなりますよ・・に対し、相手も買い換えを検討しているディーラーから同じことをいわれている・・と苦笑していました。
 
 北海道はどんなに大きな車でもそれなりに絵になりますが、大半を暮らす都会地では買い物にも使えない車を一年のほとんどを車庫に眠らせるのはもったいない話です。車は走らなくても資産価値を極端に減らす性質があるので、庶民の生活の智恵としてこれらの配慮は当然であり、省エネの観点からも大切な視点です。
 しかし、ラ・クーンでさえ高さが2.5m近くあり立駐のほとんどは入れず、大規模店の駐車場でも高さ制限を2.1〜2.3m程度に設定しているところが多く、辛い目に遭ってしまいます。
 そこに純粋の軽キャンカーの出番があるわけで、今後この需要が増加するのは間違いないと思います。しかし、普通車ナンバーのラ・クーンの幅、長さ、高さのゆとりは何ものにも代え難く最後まで悩み抜くユーザーがこれまた増加するのも間違いないことです。
 地方の方で直接アズマさんに行けない人は親切なラ・クーン仲間にお尋ねになるのが一番かも知れません。

 そろそろ本論に入らねばなりません。このエンジンで、この重さでラ・クーンは走るのか?が話題でしたね。
 走りますか?この質問に対する答えは、質問者の意図が明確でない限り迂闊に答えることができません。愛車「還紅」は9ヶ月で約15000km走行しました。見事に走り続けています。
 
 時間的な余裕があり気が乗ると、神戸から仕事先茨城県までラ・クーン「還紅」で走ることがあります。高速道路を使っても9時間かかりますが、例外なく高速道路を使わねばなりません。
 この経験は別のページに書いていますが、ETC割引の適用にはどうしても深夜の走行が多くなります。深夜走行の恐ろしさは猛スピードで失踪するトラックすべてが追い越していくことです。
 北海道の一般道でも制限速度を10km程度オーバーしていてもほとんどの車が追い越していくように、高速道路は100kmを越えるスピードでトラックが追い越すのですから凄まじい風圧を受けましす。
 慣れれば・・と言う簡単なでもなく、これは個人差もあり人が感じる意識差が相当生じるのではないかと思います。一般道で追い越されるのと高速道路のそれとは根本的に違います。
 また話が逸れましたがラ・クーンは本当に走るのか?にお答えしなければなりません。北海道3500kmを走行した感想ですが、こんなにタフで粘り強い走りをするとは思いませんでした。
 
 ただ一度、オタモイ海岸の急な坂を下りながら帰りは登るのか・・と恐怖に感じた場面がありました。「還紅」はAT車です。MT車ならバックで戻るという芸当も可能でしょうが、何と言っても後方視界が悪い車ですから、狭い崖っぷちをバックで登ることはよほどのことがない限り避けるべきです。
 推定車両総重量1.5dを660ccで引き揚げるのですから極限の使い方で、しかも長時間運転はできません。ATFオイルの劣化が見えるような感じでしたが粘り強さに関しては賞賛もので無事国道まで走りきりました。
 
 そんなわけでラ・クーンのハンディは登り坂です。しかし高速道路の登坂車線では苦戦しますが、一般道の登りではそんなに苦労は感じません。それは最高速度の設定が異なるからで、一般道の登りなら70kmも出れば問題ないということでしょうか。
 
 そこで走りや気がつく点についてまとめてみました。
○ ラ・クーンの性質を完全に理解すること。
軽ベースだから運転は簡単・・というのは嘘です。いや、簡単ですがかなり個性的な走りをしますから、その個性を熟知すれば簡単といえます。ホイルベースと車高が同じで、トップヘビー・・その割りにタイヤが異常に小さいということはそっくり走りの個性そのものです。

○ ブレーキ依存型の運転は避ける

元々のベースは軽トラックですからその積載量はたかだか750kgです。ラ・クーンの多くはこの最大積載量が日常的ですから満載のトラックのブレーキ状態です。特に夏場の下りの坂道でブレーキを踏み続ける危険性はオーナーの多くから指摘があります。

○ スピードは出てもださない

下り坂を早く走れるのは自転車です。悪い例えながら普通の乗用車に乗っている人がラ・クーンの感想として言ったのが自転車論です・・
高速道路の平坦路ならでラ・クーンは100kmで走ります。しかし、燃費が極端に悪くなります。一番の理想は一般道の60kmくらいに真価を発揮しますから、ゆっくりと走る楽しみを体に植え付けることです。そうすれば周りの景色も良く見え、人もよく見えるようになります。
 ラ・クーンのオーナーが優しくて人柄が良いのはこの車をパートナーにしていることも無関係ではないと思います。
 

北海道走行給油記録
日 時 表示km ODkm 給油L 銘 柄 燃費km 価格円 給油場所
7/8 17:40 12025 87.2 10.67 ゼネラル舞子坂 8.2 135 神戸出発前
7/9 23:47 12361 335.3 32.01 セルフ留萌 10.5 127.8 留萌市
7/10 09:42 12565 204.8 18.54 香深漁協 11.04 172.7 礼文島・離島価格
7/11 0833 12676 110.1 11.52 香深漁協 9.6 172.7 礼文島
7/12 09:08 12866 190.7 17.4 ENEOS 10.95 150 浜頓別
7/12 15:58 13035 168.2 15.51 ホクレン 10.84 137 紋別
7/13 10:58 13165 130.3 12.0 コスモ石油 10.85 136 新町SS
7/14 10:07 13445 279.8 26.33 セルフ根室 10.62 135.8 根室
7/14 15:35 13589 144.3 11.16 IDEMITSU 12.93 143 別海町
7/15 10:44 13768 179.0 15.49 IDEMITSU 11.55 137 富良野
7/15 13:30 14201 252.7 21.51 不明 11.74 襟裳岬
7/16 10:44 14250 228.5 18.66 IDEMITSU 12.24 141 富良野
7/17 10:28 14440 190.1 17.14 IDEMITSU 11.09 141 当真町
7/17 16:23 14583 142.7 11.0 ENEOS 12.97 138 旭川市
7/18 09:56 14772 189.1 17.3 SHELL 10.93 135 小樽
7/18 17:25 14959 187.0 16.0 ホクレン 11.68 138 余市
7/19 16:45 15069 109.2 9.78 エネクス石油 11.16 134 小樽セルフ
7/21 00:50 15215 全行程燃費 11.29 神戸帰宅後
7/29 17:54 15297 228.1 27.01 ゼネラル舞子坂 8.45 139 神戸
離島のガソリンがこんなに高いとは知りませんでした。
諸データ
自走距離 3190km
新日本海フェリー 2122km
礼文・利尻フェリー 130km
総移動距離 5442km
総給油量 282L
平均燃費 11.29km

北海道で見かけたキャンピングカー

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